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街灯の下、猫は間違いなく『ミルク』だった。からだは小刻みに震えていた。

『ミルク』のほうも本当に飼い主なのか確認したかったようで、薄明るい街灯の灯でお互いの瞳を見つめていた。人間と子猫のオスが見つめ合う変なツーショット。目に涙がにじんだ。
とにかく、もう腕から飛び出さないように気をつけながら車に戻った。入ってドアを閉めた瞬間が本当の意味で安堵だった気がする。
7日の午後4時にSA入りして10日の午後6時30分に発見。実に捜索に74時間余りかかったが、それよりも『ミルク』は、いなくなった5日午後0時から5日半もの間、空腹と寒さと孤独を味わったことになる。まだ仔猫だというのに、本当にかわいそうなことをした。



やっぱり『ミルク』だった!

からだは小刻みに震えていたが、
見つかって本当によかった。



車中でシーチキンに似たマグロのキャットフードをあげると、『ミルク』は飛びついてむさぼるように食べた。だが、がむしゃらに食べながらも時折頭を上げこっちの顔をじっと見つめた。夢ではないかと確認するかのように。
食べた後はしばらくの間抱いてやり、そして家への帰り支度にかかった。
車中は滞在生活のためいろいろなものが散らばっていて、それを片付けるために『ミルク』を残してトランクを整理したり、SAのゴミ箱に行ったりしたが、その度に顔をウインドウに押し当て必死で私を探した。迷子の間よほど心細い思いをしたのだろう。

とにかく一瞬でさえ離れたくなかったようで、御在所SAをあとにして出発したときは、どうしても抱かれにくるので、仕方なく膝上にクッションを載せバスタオルをひき、左手で抱っこした状態でほとんど片手運転で高速を走った。もちろん安全速度だったが、正直150キロで走るより緊張して走った。夜中で周りの景色も、街灯や街の灯りが次々に脇を去り、車中も真っ暗な状態だったので、肌を触れていないと安心できなかったようだ。走行中、時たま私のアゴや頬を触って確認するのにはドキッとさせられたが、とてもいじらしかった。料金所では、ETCの便利さがフルに活かされ、付けてて良かったとつくづく感じた。

結局、御在所SAから一度の休憩もとらず東京に走った。途中『ミルク』はほとんど眠っていたので(多分、6日に渡る野生生活では安心して眠れなかったのだと思う)、わざわざ休憩に寄り、起こして再度恐怖を味わわせるより、静かに寝ている間に着いてしまおうと考えたのだ。深夜0時の少し前、無事家にたどり着いた。家族が大喜びして迎えてくれたことは言うまでもない。

家の明るい照明の中であらためて見てみると、『ミルク』はひとまわり痩せていた。(3.6、7kgあった体重が3kgを割るくらいに落ちていた。)多分エサを獲ることができずに、そして、猫が食べそうなものは、あのSAではカラスや野良犬が食べていたと思われるので、何も食べることができず日に日に痩せ細っていたようだ。あと2、3日発見が遅れていたら本当に衰弱しきって命は無かったかもしれない。
御在所SAに入って丸三日余り、天候にも恵まれ(雨や雪が降っていたらどうなったことか)最良の形で結果を得ることができて、本当に良かった。

今、『ミルク』は以前に増してべったり甘えている。そしてよくしゃべる(鳴く)ようになった。生後5ヶ月、人間にして小学生ぐらいの室内飼いの仔猫には、あまりに過酷な5日半だったと思う。



家に帰り着いてすぐの『ミルク』。


11日。帰り着いた翌日の『ミルク』。
疲れのせいか、一日中、寝てばかりだった。
SA滞在こぼれ話
★SAでオモシロ目撃★
ずっとSAに張り込みをしていると、「なんでだろう」とか「へえ」とか、去年の流行語のような、こんなオモシロイ光景に出くわした。


○トイレがあるだろよぉ

 4人見かけました。わざわざSAに入って来てるのに、わざわざちょっと陰に隠れた木立のあたりや看板の裏っ側で、立小便をするオジサンたち。皆決まって50を過ぎたくらいの御歳なのだ。トイレはほんのちょっと先にタップリの人数が利用できる立派なものがあるのに、ほんとに「なんでだろう?」という感じ。もしかして、犬と同じように、マーキングをしたいという人間の中の野生がそうさせるのかも。それとも前世は本当に犬だったりして。このオジサンたち。(笑)

○ホントにいるんだぁ
 車中で、シートを倒してヤブの方を注視していると、ウインドウの外で笑顔でこちらに用がありそうな人が佇んでいる。もしかして猫の情報を何か持っている人かも!?と、あわててドアを開けると、開口一番、「あのー、裏○デオの原版持ってるんですが、要りませんか?」だって。テレビでは見たことあったが、ほんとにいるんだなあ、SAで休むドライバー相手にこういう商売をやってる人。そりゃ興味が無いとは言わないが、それはヤバいよ。マズいよ。さすがに「あぁ、要りません」と答えた。色に目が眩んであんなもの買ってたら、神様も『ミルク』を渡してくれなかったかもしれないなあ。



◆ETCで不審者に
9日、四日市に住む同窓仲間の広子さんにメールで道案内してもらい、スーパー銭湯『ユラックス』に行った。お風呂はすごく気持ち良かったが、そこに行くまで、四日市東ICで降りるとき、ETCのまま通過しようとすると、バーが上がらない。後の車からはビービー鳴らされて、おまけに係員が出てきて事情聴取とあいなった。もちろん、ETCカードはきちんと差していたが、7日に四日市ICから乗ったまま御在所SAに滞在していたため、ETCの通行情報が消えていたらしいのだ。最初は不審者と疑っていたふうの係員も、裏付けが取れて「いやあ、こんなの初めてですよ」と。どうも24時間経つとETCの情報は更新されていくようで、事務所に戻ってメインコンピュータ?内を探さないとデータは出てこないとか。猫を捜していて自分が捜されるとは・・・。SAで寝泊りする人は気をつけましょう。(笑)


家に帰り着いてすぐの『ミルク』。
抱かれてぐっすり。


●その後の『ミルク』 (1月17日現在)
11日(日)。深夜家に帰り着いた翌日は、『ミルク』は一日中ほとんど寝ていた。それも熟睡。もう危険が無いことを知っているからだろう、腹を見せて寝たり、あまりに無防備な寝相が笑いを誘った。
また、体の痩せ具合、食欲からすると、やはり迷子の間中何も食べていなかったようで、比較的元気ではあったが、寝ては食べ、食べては寝て、を繰り返した。失った栄養分を補うため、少しずつ、何度にも分けてやわらかいフードをたっぷり与えた。

それがよくなかったのか、それとも6日に渡る環境がそうさせたのか、夜頃から腹を下しはじめた。どんどんひどくなり、水状の下痢となり、薬を与えるものの、翌12日もまったく快方に向かわない。そればかりか、嘔吐もしはじめて、食欲も元気も一気に無くなってきたので、13日には病院で診てもらった。
迷子の6日間の様子がわからないので診断も難しいようだったが、とりあえず点滴と吐き気止めの注射をしてもらい、胃腸の薬をもらって帰ってきた。
その効果あって、15日午前には普通の便が出て元気も戻った。ところが代わりに、耳の付け根にオデキのようなものができ、目の上あたりには湿疹の血のにじみのようなものが見られはじめるようになった。一難去ってまた一難である。それが場所を変え少しずつ増えてきた。


2004年1月12日。体調が悪くなり、
下痢と嘔吐を繰り返した。
そして今日、『ミルク』の生還からちょうど一週間の17日。再度病院に行き診てもらうと、一過性の皮膚病ではないかとのことで(迷子の間に他の猫などからもらったものか、食べたものからのアレルギーかはわからない)、今しばらく様子見ということになった。元気ではあるので、今後の状態次第ということだ。

そのようなわけで、まだ完全に年末・帰省前の元の状態に戻ったとは言い難いが、とりあえず、手元に『ミルク』がいるだけで、今はヨシとしなければいけないのだろう。それくらい、『ミルク』にとっても私達家族にとっても、非常に大きな出来事だったのだ。

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 東京都在住 森下Family
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